北海道・札幌市を本拠地とする[佐藤水産]は、高品質な水産加工品の製造、販売を行う企業です。新千歳空港や羽田空港内の店舗で、その商品を手に取ったことがある方も多いのではないでしょうか。かに、ほたて、ししゃも、数の子をふんだんに使った松前漬けや瓶詰め、乾物などの加工品は、どれも食通も唸るほどの絶品です。
そんな[佐藤水産]の原点は、北海道産天然鮭。代名詞とも言える『鮭ルイベ漬』は発売から20年以上が経つ今も一番人気の商品です。鮭本来の旨み引き出したとろけるような味わいに、加工品とは思えないほどぎゅっと詰まった肉厚な食感が魅力のこの商品は、どのようにして生み出されるのでしょうか。
おいしさの理由を解明すべく、石狩サーモンファクトリーを訪ねました。
そんな[佐藤水産]の原点は、北海道産天然鮭。代名詞とも言える『鮭ルイベ漬』は発売から20年以上が経つ今も一番人気の商品です。鮭本来の旨み引き出したとろけるような味わいに、加工品とは思えないほどぎゅっと詰まった肉厚な食感が魅力のこの商品は、どのようにして生み出されるのでしょうか。
おいしさの理由を解明すべく、石狩サーモンファクトリーを訪ねました。
石狩漁港で水揚げした秋鮭を、素早く、おいしく加工。
札幌駅から車で約20分。石狩大橋を渡ると、石狩サーモンファクトリーが見えてきました。案内してくださった佐藤水産営業部 副部長の方川 由美子さんは「石狩漁港から5分とかからない立地に工場を設けることで、水揚げしたばかりの秋鮭を新鮮なうちに製造加工できる」といいます。実際に工場内を見学させていただき、納得しました。
新鮮なおいしさをそのまま商品にするために、一気に何通りもの加工作業が行われていたのです。
まず、漁港から運ばれたばかりのピチピチの鮭を大量にざざざっとラインに流し、機械で頭を切り落とした後は、順々に解体しながら用途別に枝分かれしていきます。その後は、臓を水できれいに洗い流している人、筋子をほぐしている人、重さ別にふるい分けた鮭の身を急速冷凍庫へ速やかに運んでいる人と、一つの部屋の中でさまざまな作業がテキパキとこなされていました。
まず、漁港から運ばれたばかりのピチピチの鮭を大量にざざざっとラインに流し、機械で頭を切り落とした後は、順々に解体しながら用途別に枝分かれしていきます。その後は、臓を水できれいに洗い流している人、筋子をほぐしている人、重さ別にふるい分けた鮭の身を急速冷凍庫へ速やかに運んでいる人と、一つの部屋の中でさまざまな作業がテキパキとこなされていました。
随所に光る職人技。素材本来のおいしさを引き出した、毎日でも食べられる自然な味。
石狩サーモンファクトリーではいくらの加工も行っており、いくらに触れただけで塩の浸透度合いがわかるような職人技をもつ従業員も働いています。「塩水に浸りすぎても、逆に浸かり方があまくても、最高の状態は引き出せません。熟練の従業員だからこそ、いくらを塩水から引き上げる頃合いを見極められるのです」と方川さん。
鮭には個体差があり、かつ、その日の気温によっても塩の浸透は左右されます。機械や、画一化されたマニュアルだけでは行き届かない部分に職人の技を加えることで、完成された味へと導いているのです。こうして丁寧に処理されたいくらは、いくら単体で販売されます。
少しも無駄にしない。受け継がれる創業者の想い。
工場内を歩き、さまざまな商品の加工工程を見るうちに、おいしさの秘密のみならず、[佐藤水産]の鮭に対する並々ならぬ情熱もわかってきました。「石狩川の恵みである鮭に感謝し、1匹余すことなく使い切る」。
創業者・佐藤三男さんのこの信念を貫くため、[佐藤水産]では長い年月をかけて研究・開発が続けられてきたといいます。
2008年に誕生した『鮭醤油』は、そんな強い想いが結実した商品。これにより、それまでは廃棄されていた鮭のアラなどの部位も使い切れるようになったそう。
鮭の一生を理解し、感謝の気持ちを育む。
ところで、鮭は生まれた川に必ず戻る習性があることで有名ですが、[佐藤水産]ではそうした鮭の一生をより身近に感じるためにも、毎年春に『稚魚放流式』を行っているそう。北海道で放流された鮭は、オホーツク海やベーリング海を回遊すると言われています。そして、厳しい環境を生き抜いたわずか数パーセントの鮭だけが、生まれた(放流された)川に戻ってきます。
「そうした長い道のりに思いを馳せることで、故郷に帰ってきた鮭に対して感謝と畏敬の念が生まれますし、少しも無駄にすることなく、美味しい商品にしてお客様に届けようという想いが増します」と、方川さん。さらに「実は、年々、鮭の漁獲量が減っています。
さまざまな理由が考えられますが、私たちがまずできることは、本当に必要な分だけを仕入れて、無駄を出さずに使い切ることだと考えています」と、環境への配慮も語ってくれました。
さまざまな理由が考えられますが、私たちがまずできることは、本当に必要な分だけを仕入れて、無駄を出さずに使い切ることだと考えています」と、環境への配慮も語ってくれました。
当たり前のように取り組んでいたことが、SDGsにつながった。
「創業者の“もったいない精神”が、鮭を一本丸ごと無駄にせずに商品化するための努力につながり、それが時代の変化とともにサステナブルな取り組みとして評価されるようになっていました」と、方川さん。実は20~30年前から、[佐藤水産]ではそうとは意識せずともサステナブルなアクションを起こしていたのです。その根底に流れるのは、鮭への感謝の気持ちです。「すべてはおいしい鮭のために」。
[佐藤水産]のこの信念が、私たちの食卓においしい水産加工品を届けてくれると同時に、未来へとつながる食のあり方を実現してくれているのですね。