2023/04/18 09:00

「年齢、国籍、信条に関係なく皆で一緒に食べたい」。[エイタブリッシュ]のヴィーガンスイーツ。

[エイタブリッシュ]のヴィーガンスイーツ。イメージ1
[エイタブリッシュ]のヴィーガンスイーツ。イメージ2
[エイタブリッシュ]のヴィーガンスイーツ。イメージ3
[エイタブリッシュ]のヴィーガンスイーツ。イメージ4
カラフルでおしゃれなパッケージに、ずっと眺めていたくなるような可愛らしい形のクッキー。東京・南青山でパーラーを運営する[エイタブリッシュ]のスイーツは、自分へのご褒美や手土産として幅広い層から愛されています。実は、ここで提供しているスイーツはすべてヴィーガン(完全菜食)。[エイタブリッシュ]では2000年の創業当時から卵、バター、ミルクなどの動物性食材を一切使用しない商品を提供してきたといいます。
「見た目が美しいのはもちろんのこと、食材の制限のある方々でも安心して食べられて、かつ、おいしさも兼ね備えたヴィーガンフードを販売したかった」と話すのは、代表の川村明子さん。今でこそヴィーガンという考え方が日本にも浸透していますが、なぜ、20年以上前にこうしたスタイルのスイーツを展開しようと思ったのでしょうか。川村さんに話を伺いました。
キャリアのスタートはデザイナー。ふとしたきっかけから飲食店経営者に。

キャリアのスタートはデザイナー。ふとしたきっかけから飲食店経営者に。

もとはデザイナーとして活躍していた川村さん。彼女が飲食店経営者となったきっかけは、仕事を通じてインテリアショップ『TIME&STYLE』代表の吉田龍太郎さんと出会ったことでした。彼が青山に新しい飲食店をオープンする際、一緒に運営しないか」と川村さんに声をかけてくれたのだといいます。
何人かで集まってお店のコンセプトを考えるうちに出たのが「ヴィーガンメニューにしよう」というアイデア。「私自身はヴィーガンではありませんが、ヴィーガンメニューにすることによって宗教、思想にかかわらず誰でも同じ食卓を囲めるという趣旨にはものすごく共感しました」と、川村さんは当時を振り返ります。「やるからには店の内装も洗練させたかったし、ただヴィーガンメニューにするだけでなく、味もちゃんとおいしいものにしたかった。なんでも徹底的にやらないと気が済まない性格なんです」。
ヴィーガン、グルテンフリー。目指したのはユニバーサルフード。

ヴィーガン、グルテンフリー。目指したのはユニバーサルフード。

「誰でも同じ食卓を囲める」。日本に住んでいるとなかなか気づかない視点ですが、世界を見渡すと、さまざまな理由から、完全菜食の方や特定の動物を食べない方はたくさんいます。たとえば味噌汁ひとつとっても、出汁に煮干しが使われていればヴィーガンの人は食べません。「同じ食卓を囲む」というのは実はとても特別なことなのです。
だからこそ、川村さんにとって動物性食材を使用しないメニューの開発は意味がありました。そして、現在ではさらに一歩踏み込み、アレルギーのある人にも配慮したグルテンフリーの商品も増やしています。「約8割のスイーツは小麦や大麦、ライ麦やオーツ麦などを使用していません。食事制限のある方も、ない方も、みんなが一緒に楽しめる商品を提供していきたいと考えています」。
[Cafe8]から[エイタブリッシュ]へ。

[Cafe8]から[エイタブリッシュ]へ。

2000年にオープンした当時の店名は[Cafe8]で、メニューも現在とは異なりました。スイーツも作り始めたのは15年ほど前のこと。さらに、現在のようにパッケージ化したクッキーにも力を入れ始めたのは、コロナ禍となる直前の2019年頃でした。
インターネットで全国のおいしいものが買えるようになるなど食の在り方が変容していくなか、川村さんは「これからはお客様に食べに来ていただくことが主の時代ではなくなる」と感じていたそう。スイーツであれば全国、世界中どこにでも持っていけるし、長持ちする。そんな想いからパッケージフードの準備を進めていたといいます。都内百貨店の地下食品街にテイクアウト専門店をオープンさせたのは、奇しくも最初の緊急事態宣言の3日後。そして2020年6月、ヴィーガンレストランからパーラー[エイタブリッシュ]リニューアルしました。
柔軟さも大切。時と場合に応じて、上手にプラスチックを取り入れる。

柔軟さも大切。時と場合に応じて、上手にプラスチックを取り入れる。

社会を広い目で見渡して課題を発見し、自分のアイデアを通じてその解決に取り組もうとする川村さん。常温長期保存食品シリーズ『OhBRAVO』にも、独自の発想が盛り込まれています。「サステナブルな視点から考えると、プラスチックの使用は慎重にならなければなりません」と前置きをしたうえで、川村さんは敢えてこの商品にプラスチックの袋を使用しています。
「ただし、レトルトパックにすることによって半年以上持たせることができ、非常食にもなりうる商品として販売できるのです。環境に良くないからといってプラスチックの使用を避けるのか、人の命を優先するために最小限におさえて上手にプラスチックを使うのか。時と場合によって優先順位が変化することもあるから、私自身も常に柔軟に物事を捉えられるよう心がけています」。

デザイナー視点でサステナブルを考える。

冒頭で紹介したクッキーの入れ物についても、川村さんは考え抜いて作っています。
「お菓子の容器を可愛らしいデザインの缶にすることで、サステナブルにつながるんじゃないかと思っています」と、川村さん。なぜなら、食べ終わった後も捨てずに保存容器として使い続けてもらえるかもしれないから。すると、ゴミの量を削減することにもつながります。
「デザイナーとは、自分達の作品を受け取った方が次にどういうアクションをとるか、何を感じるかということまで想像するものなんです」。
川村さんの話を伺った後あらためて[エイタブリッシュ] のクッキーを眺めてみると、見た目が可愛いくて、かつ、サステナブルで、しかも多様性を認める懐の広ささえ感じられるようになってきました。川村さんのように柔軟な姿勢で社会の課題を解決していけたら、こんなに素敵なことはないのかもしれません。
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