2023/07/26 10:00

オーガニック農園へとよみがえった滋賀県山あいの大地で生まれる、おいしく健康的でエシカルな薬草茶。

永源寺マルベリー
永源寺マルベリー
永源寺マルベリー
永源寺マルベリー
過疎化が進む山間部の耕作放棄地を、近畿最大規模の有機薬用農園へとよみがえらせた作り手が滋賀・東近江にいます。その名は[永源寺マルベリー]。マルベリーとは桑(の実)のこと。最初は桑畑を復活させるプロジェクトからはじまった同農園では現在、桑、明日葉(アシタバ)、モリンガをメインに栽培し、オーガニックのハーブ茶や薬草パウダーなどを販売しています。現地を訪れると、そこでは雄大な自然の中で薬用植物がたくましく育ち、それらを愛でる生産者さんたちのにこやかな笑顔がありました。どのようにして[永源寺マルベリー]が生まれ、希少なオーガニック農園となったのでしょうか。生産管理部長の上田長司さんに聞きました。
耕作放棄地を桑畑に転換して農地と地域コミュニティの活性化に挑戦。

耕作放棄地を桑畑に転換して農地と地域コミュニティの活性化に挑戦。

琵琶湖から南東に車で約40分。滋賀県東近江市の永源寺地区は、臨済宗永源寺派の大本山『永源寺』が鎮座する集落です。さらに東部へ行けば、かつて“宇治は茶所、茶は政所(まんどころ)”と茶摘み唄にも歌われた『政所茶』の政所町があり、お茶をはじめとした作物の栽培に適した自然環境が魅力のひとつです。
その一方、生産者の高齢化などによってこれらの田畑が耕作放棄地となっているのも事実。この課題を解決するべく、新たに桑の栽培地として復活させ、2004年に農地と地域の活性化に挑んだのが[永源寺マルベリー]です。創業者のひとりが代表の吉澤克美さん。桑に魅せられた理由は、豊富な薬用成分をもつ作物であること、また山間部での栽培に適していることなどが挙げられます。
随所に光る職人技。素材本来のおいしさを引き出した、毎日でも食べられる自然な味。

不老長寿の妙草と呼ばれる『明日葉』や奇跡のスーパーフードと言われる『モリンガ』も栽培。さらには有機認証も。

上田さんによると、近年は桑の成分について科学的検証が行われ、健康に有効な成分が次々と明らかになってきたそう。中でも桑特有の『1-デオキシノジリマイシン(DNJ)』は血糖値の上昇を抑制する働きがあるとして、注目を集めている成分です。
その後も[永源寺マルベリー]は健康食品の原料生産を主軸とし、2014年からは『不老長寿の妙草』とも呼ばれる明日葉、2018年からは『奇跡のスーパーフード』と呼ばれるモリンガを栽培開始。ほかにもヨモギ、杜仲、ケールなど約10種類の薬用植物を栽培しており、2022年時点での圃場(ほじょう)面積は約10ヘクタールへと拡大しました。また、「世界基準の品質を」との思いから2017年には有機JAS認証を取得するなど、自然の恵みを最大限に生かした、安心のおいしさを届けています。
30~90歳代のメンバーが職場を通じて地域を活性化。有機農法は農福連携と好相性。

30~90歳代のメンバーが職場を通じて地域を活性化。有機農法は農福連携と好相性。

[永源寺マルベリー]の先進性は、地域コミュニティの活性化にもあります。農園で働くメンバーは、地元の高齢者や障がい者の方がほとんどで、中には海外出身の方も。30~90歳代まで、幅広い年齢層の方々が力を合わせて農業を行っています。
有機農法は種まき、除草、収穫などをおもに手作業でおこなうため、専用の機械操作なども不要で、だれでも従事しやすいことが特徴。さらに仲間と一緒に農作業で体を動かすことは心身ともにメリットがあり、有機農法は農福連携(農業×福祉)と好相性なのです。同農園はいまや地域のセカンドステージとして認知されており、圃場(ほじょう)では1942年生まれの吉澤代表のほか、共同創業者でもある1930年生まれの門阪杢平(かどさか もくべい)さんらも元気に働いています。
南国の薬用植物をも栽培可能に。永源寺地区ならではの肥沃な土壌。

南国の薬用植物をも栽培可能に。永源寺地区ならではの肥沃な土壌。

とはいえ、オーガニックの薬用植物を栽培するのは簡単ではなく、この地でなければ実現できなかったと上田さんは言います。というのも、たとえば明日葉は三宅島や八丈島など温暖な地域に自生する植物。また、モリンガはインド発祥といわれ、日本では自生していません。
原産地とは土壌や気候も違う永源寺地区でこれらを育てられる理由は、品種改良のほかに肥沃な土地が関係しているからです。第一に、東部の鈴鹿山脈から流れるミネラル豊富な水の恵み。そのうえ、たくましく育てられた近江牛の発酵牛糞と、栗東で鍛えられたサラブレッドの発酵馬糞が入手可能。こうした地の利によって栄養分に優れた自然堆肥が作られ、植物もスクスクと元気に育つのです。

多様性が求められる今こそ、エシカルな[永源寺マルベリー]の有機薬草茶を。

現在、世界中でSDGs(持続可能な開発目標)が一大テーマとなっていますが、この目標が採択されたのは2015年。それより何年も前から地域の就労環境改善や高齢化に適応する仕組みをつくり、多様性あふれるコミュニティを生み出すとともに、人と自然にやさしい有機農業に取り組んだ[永源寺マルベリー]は、真に先進的な企業といえるかもしれません。
吉澤代表は「自然は大切にしなくちゃね。自然は芸術ですから」と優しく微笑み、上田さんは「これからもいっそう当社の取り組みや商品を知っていただき、アイテムの種類や数も増やしていきたいですね」と力強く語ります。オーガニック栽培やユニバーサル農業への先進的な取り組みで社会課題を解決していく永源寺マルベリー。エシカル(倫理的)な商品とともに、その注目度は今後ますます高まっていくでしょう。
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